真摯に謝る男の人に、私は少し拍子抜けしてしまった。 「俺…いくら寝呆けていたとはいえ、君を泣かせるほど怖がらせたもんな…。いくら謝っても足りないと思うけど……本当にごめん。」 頭を下げたままで謝り続ける男の人を、私はジッと見ていた。 「翠央が、そんなんで許すわけねぇじゃん。」 「あの……寝呆けてたみたいですし、こんなに謝ってもらってますから、それで十分です…。」 匠先輩の言葉の後に、間をあまり空けずに私は声を出した。 男の人も、匠先輩も、私の言葉が意外だったのか、驚いているみたいだ。