「こうして、翠央と一緒に居られるのも、この鍵のおかげ…だよな。」


ギュッと抱きしめた後、腕の力を緩めて離した先輩は、部屋の鍵を私の前に差し出した。



それは、ついこの前…
私が手放した鍵…。



「…この鍵を翠央が拾って、ここに来てくれたから、今があるんだもんな。」


先輩チャリッと鍵を軽く揺らす。


そうだよね…。
この鍵が…始まりだったんだよね…。