素顔の先輩と甘い休息


『七瀬さーん、いませんか?早くステージに来て下さ〜い!いらっしゃらない場合は、もう一度、相沢君に紙を引いてもらいますよ!』


なかなかステージに現れないため、実行委員の人も戸惑いながら体育館を見回している。


「ほら、翠央。早く行かないと他の人が選ばれちゃうよ!」


智依は、私の背中をポンポン叩いて急かすけど、私は、このままステージに行かないでおこう…って思った。


そうすれば、他の人が代わりに選ばれるわけだし、それでいいって思ったんだ…。


もう匠先輩には鍵を返したんだし、秘密の時間を共有する不思議な関係も消滅した。


だから、これでいいんだ…。