私は、頭をブンブン振った。

あんまり先輩のことばかり考えたってしょうがないよね…。


「翠央!ほらほらっ!相沢先輩がいるよっ!」


ドキン…


智依が教室の窓の外を見ながら私を呼ぶ。


名前を誰かが呼ぶのを聞くだけでもドキッとなるのって……おかしいよね?


なかなか席を立とうとしない私のところにやって来て、智依はグイグイと窓際へ引っ張っていく。


「ほらあそこ!たくさんの女の子たちに囲まれてるよ!」


わっ……
匠先輩だ…。