緩やかなら旋状の階段を上り、少し進んだ場所で先輩は止まった。


「翠央、悪いけど鍵開けてくれる?鍵は、ここのポケットに入ってるから。」


先輩の視線は制服のワイシャツの胸ポケットに注がれている。


そこですか!?
私がポケットに手を入れて取らないといけないの!?

…でも、ここまで抱っこしてきてくれたし、嫌とは言えないよね…。


ゆっくりと先輩のポケットに手を伸ばして鍵を取ると、ドアの鍵穴に差し込んだ。