Anniversary


「桃花、あのなぁ……」

「じゃあ私も先輩と一緒に、ココに、居るっ!」

「だから、桃花……」

「別に、風邪ひかなければいいんでしょっ?」

 そして、再び何事か言いかけようとした先輩の口を塞ぐように……つかつかと歩いて先輩の前に立つと……ぽふっと、真正面から抱きついてやった。

「んなっ…、ももも桃花なにをっ……!?」

「こーしてればあったかいもーん! うわーい、ぬくぬくーっ♪」

「…………!!」

 そのまま私は、先輩の投げ出した長い両脚の間に、ペッタリ座りこんでしまう。

「――今日は一日中、ずっと先輩に構ってもらえなくて、すっごい淋しかったんだから……!!」

 だから、このくらい許してよ? とでも言いたげに見上げた私の視線を見下ろして。

 先輩はそこで、はーっとした息を深く吐いた。

 まるでタメ息のように。

 そして、「かなわんなぁ…」と呟きつつ、ようやく私の背中に手を回し、抱きしめてくれる。

「悪かったな、ホンマに……ごめん」

「ううん、いいの。しょうがないもん」

 そんな殊勝なコトバを返しつつも……それでも、私の手は言葉とは裏腹に、ぎゅうーっと更にキツく、先輩のカラダにしがみ付いていく。

「しょうがないけど……!! ――でも、私が一緒にいられないのに、他のオンナノコは一緒にいられるって……それは悔しかったかなっ! スッゴク!」

「――う…イヤあの、それは、だから……」

「『だから』…なに……?」

 ぎゅううううっ…!! より締め付ける私の両手から、「うがっ…、ギブギブギブっ…!!」と、本気で苦しそうに身をよじって、そこで先輩が降参とばかりに両手を上げて逃れた。

「仕方ないやん! 先輩らーの命令やってん、オレが集めた分、オレが接客せんことには収まりが付かへんって……」

「ふうん、そう……先輩が『集めた』のね……? あんなにオンナノコたくさん……?」

「――――!!?」

 そこでハッとしたように先輩は口を噤むも……、

 ―――遅いわよ気付くの、それは幾ら何でも。