ドアはかすかに軋んだ音を立ててアッサリと開き……その向こうに、広々としたコンクリートの床と、高いフェンスと、そして藍色の夜空が見渡せた。
「うわ、キレーイ……!」
吹き付けてきた風の涼やかさと、見上げた夜空のあまりの綺麗さに……ドアを開け放ったその場で立ち尽くしたまま、私は絶句する。
さすが田舎だ。地上の余計な光が少ない分、空の光が良く見える。
「―――桃花、か……?」
そこで、ふいに投げ掛けられた声に、思わずビクッとして振り返った。
振り返った先に居たのは……ドアのすぐ横の壁に凭れかかった姿勢で座りコチラを見上げている、
―――みっきー先輩。
「どうしたん、こんなトコまで来て? 眠れないんか?」
「…………!!」
何気なく尋ねる、そんな先輩の言葉にも……驚いたあまり、私は何も返せない。
「あ、あの、私っ……!!」
何事か言葉を出そうとした拍子に……突然、くしゅっと1つ、クシャミが洩れた。
やっぱり屋上の風は冷たかったみたいだ。
「ああ、もう、つーか桃花、そんな薄着で来るからー……大丈夫かー?」
「だってー……」
ミカコ探すのに、まさか屋上まで出てこようとは思わなかったんだもの……。
「あ、そういえばミカコは? ここに、来てない?」
「実果子ちゃん……?」
そこで本来の目的を思い出して、それを尋ねるも……先輩は軽く「イヤ」とアッサリ、応えて下さる。
「オレ、もうかなりしばらく1人でココに居てたけど……その間、特に誰も来てへんよ?」
「そう……」
「なんや、実果子ちゃん居ないんか?」
「うん……ホントもう、ドコ行っちゃったのかなあ……」
「トイレは?」
「一応、そこも探してはみたんだけど……」
言いながら、また1つクシャンと、洩れるクシャミ。
――ううわ、カッコ悪いっ……!
「…じゃあ、入れ違いになったんやろ。戻ったら居てるって。だから、風邪ひく前にお前もフトンに戻りーや桃花」
呆れたようなタメ息まじりのそのオコトバで……思わずムッとして返していた。
「イ・ヤ!」

