「…つーか、そこ! さりげなく逃げるなよセンセー!」
途端、軽くビクッとして、コッソリ後退りながら出口へと移動しかけていた碓氷センセーが、扉の取っ手に手を掛けたポーズのままで硬直する。
「まったく……オマエら、センセーまで巻き込みやがってからに……」
再び俺は、タメ息1つ。
――コイツらイケメンコンビの小ズルイところは……常に〈虎の威を狩る狐〉であろうとすることだ。
自分らこそ充分に“虎”である上、なのに背後には更なる“虎”まで、周到に用意しとくんだから。
タチが悪いこと、この上ない。
こうやって高階までもが絡んでいる以上、碓氷センセーだって所詮は男、おいそれとは断れまい。
――という事情を存分に知っている三樹本の策略だろう、これは間違いなく。
「おまけに、オマエらも面白がって参加すんな! 仮にも生徒会の人間だろうが!」
そしてセンセー以外にも。…案の定と云うか何と云うか、例によって《三連山》の面々まで、バックに付けていたらしい。
俺が軽く睨み付けた途端、即座に「だって…」「おもしろそうだし…」「つい出来心で…」などと、ニヘラ~っとした笑みと共にシラッと返される返答。
仮にも生徒会の人間のクセして、テメエらが面白ければそれでいいのかよ。
…まあ、それだけではない“理由”の1つは、キッチリ俺も解っているワケだけれども。

