Anniversary


「あーいたいた桃花! ――操ちゃん、ちょっくら桃花、借りてくなー?」


 ふいにバタバタとテント内に飛び込んできた三樹本が、呆気に取られる皆を尻目に、

「いやーん、ダメーっ!!」と拒否る島崎センセーの言葉など何のその、

 ヒョイッと小泉を抱き上げその膝の上から取り上げると、そのまま走って再びテントから出ていってしまった。

「な…何しに来たんだアイツ……?」

 ボーゼンと俺が呟いたと同時……「ああ!」と思い出したように、碓氷センセーがポンッと手を打つ。

「そういえばアイツ、いま競技出場まっ最中じゃねえ?」

「―――はい……!?」

 その言葉で、慌てて視線を去っていったばかりの三樹本の行方に向けると……ナルホド、確かにヤツは小泉を抱えたままゴール目指してまっしぐらに走っている。

「あいつ補欠だったんだよ、この競技の。コレに出場予定のヤツが午前の競技でケガしてな。だからさっき、代わりに出るよう頼んどいたんだ」

 ああ、だから碓氷センセー三樹本のこと探してたのか。…とソコで納得するも。

 ―――ちょっと待て……!?

「センセー、その代わりの競技って……」

「だから、今やってるコレだって」

「コレって……確か、“午後の部”初っ端の……」

「そうじゃねえの? ――例の《WANTED! ~ミッション・イズ・『ウォーリーを探せ!』トライアル☆》、“男子の回”だろ?」

 ――ブッッ…!!

 と、聞くなり食後の茶を飲んでいた例の3人が、その場で口の中のもの全てを勢い良く吹き出した。

 ここで「キタナイ!」と指導を入れてやれる余裕は、俺にも無い。

「ん、なっっ……!?」

(――ちょ…、ちょおーっと待ったああああっっ……!?)

 つまり、よーするに……件の《WANTED! ~ミッション・イズ・『ウォーリーを探せ!』トライアル☆》に三樹本が出場して、挙句、“借り人”として小泉を連れてった、ってゆーコトはっっ……!?

「…てゆーことは、つまり、だからっ!?」

 俺とヤツら3人、示し合ったワケでは無かったが、思わず顔を見合わせて叫んでしまった。


「「「「アイツの持ってる“指令”って、一体、ナニっっ……!?」」」」