「げっ、先輩速すぎっ……!!」
「ばーっか!! ダテに18年も由良の兄貴をやってるワケじゃねーっつの!!」
これくらいの重さなら持ち上げ慣れてる。…ことに加えて、ダテに日々鍛えているワケでは無い。
あと、こういう時だけはヒトよりも身長があると便利だよな。
跳び越すハードルが低いのなんのって。
やっぱ足の長さの勝利ってヤツー?
「兄なら、可愛い妹のために手加減して下さいよっ!!」
「バッカヤロウっっ!! 勝負に『可愛い』も『妹』もあるか!! 悔しかったら一般女子高校生かかえて走れるくらいの筋肉を付けてみやがれ!!」
「ちゃんと抱えて走ってるじゃないですか、現に一般女子高校生を!!」
「阿呆!! 由良は“一般女子高生”の規格外だ!!」
そこですかさず「ひっどーい平ちゃん!!」と武田の背中から振り返って叫ぶ由良のことは……とりあえず無視!
そのままヤツの背中を刺し、横に並んだトコロで……ヨユーを見せ付けるようにニヤリと笑い、俺は言ってやった。
「1位の座は返してもらうぜ、ロリコン副会長!」
「だから、なんで同い年の相手が好きで『ロリコン』言われなきゃならないんですか!! ぜってー1位は渡しませんっっ!!」
「大丈夫だ、オマエは殺されても死なないって! 安心して1位は任せろ!」
「だから死にますって、殺されたらサスガに!!」
「でも相手は梨田サンだろ!? 殺しまではしないだろうから大丈夫っ!」
「甘いですよ!! 相手が梨田だからこそ殺されるんでしょうがっっ!!」
そして俺たちは、…そんな当の梨田女史が聞いてたら確実にサクッと刺されてしまうような口喧嘩もどきを、並んで走ったまま飛ばし合い、そのまま次の走者のバトン受け渡しゾーンへと突っ込んでゆき。
まさに同着で、それぞれのバトンを次の走者に手渡した。

