Anniversary


『おーっと、ここで順位が入れ替わりましたね!』

 実況の通り、早乙女が鉛筆を置いた、それよりも一呼吸早く、葛城が7問正解を叩き出すのが早かった。

 アッという間に入れ替わる1位と2位。

 その差、おおよそ1馬身。

(――てーコトは、この差を埋めなきゃなんないのは次の走者の俺、ってコトか……?)

 …まあ、そんなイヤな予想はウッスラとあったけどさ。

 …とはいえ、出来ればこのまま逃げ切りたかったよなー。

「おい武田。――このまま由良かかえて、どっかシケ込みに行ってもいいぞ? 俺が許す!」

「イヤ、許されても。…それは俺的にモノスゴク魅力的なお申し出なんですけどねー、でもやったら最後、俺が梨田に殺されますって」

「気にするな。オマエなら殺されても死なん!」

「……死にますってバ殺されたら幾ら何でも」

「ちっ、根性の無ェヤツだな」

「悪いけど、ここでまた1位と2位を引っくり返されるワケにはいきませんからね! 全力で逃げ切らせてもらいます!」

「ぬかせ、アホ! そう易々と逃げ切らせてたまるかよ!」

 俺と武田がコッソリそんな無駄口トークを交わしている間に……ようやくココまで到達した葛城が、武田の手の中に由良を落とす。

「お先に、先輩!」

 そう言い置いて武田が走り去ったと同時、そこでやっと俺の目の前に早乙女が転がり込んできた。

 …そして即座にクルリと反転。

 こちらに向けた早乙女の背中から俺は、まるで小さい子供を抱き上げるように、小泉を抱き上げて身体の片側に抱え込んだ。

(――うっわ、軽っ……!!)

 その小泉の重みに、思わず俺はビックリする。

 イヤ、やっぱ身長が身長だし、軽いのは解っていたつもりだったんだけど……それでも、想像してたよりもずっと小泉は軽かった。

 仮にも妹だから由良の重さくらいは知っているけれど、ヘタしたらそれよりも軽いかもしれない。

 ひょっとしてコイツ、体重40㎏も無いんじゃないだろうか?

 走り出して前を見れば、相変わらず1位との差は1馬身くらい。

(小泉がコレなら……ひょっとしてココでイケるか……?)