「やだなあ、ボクがそんなこと言うハズなんて無いじゃないですかーお兄さんっ!」
「…『お兄さん』言うな!」
しかも、コイツがそう『お兄さん』言っては誤魔化そうとする時ホド、図星を突いた証拠でもある。
…ってコトを、シッカリ俺は心得ている。
「俺はキサマの『お兄さん』になった憶えなぞ無い!」とピシャリと言いつつ、そのまま何気なくゲシッと武田の後ろアタマを殴り飛ばして。
「まあ、でも……ここで俺が何を言うまでもなく、オマエにも相応の報復があるだろうしな梨田サンから後でタップリ」
「そっ…そおんな怖いコト、言わないでくださいよおっっ!!」
「〈自業自得〉だろーが、このボケ」
「せんぱぁあああいっっ……!!」
だってボク放送部の滝本クンに弱み握られてて仕方なかったんですうっ…! という、ドコまで本当なのか分からない極めてウソくさい言い訳など、俺はアッサリと聞かなかったことにした。
『さてさて、ようやくチーム紹介も終わりましたことですし……』
…と、タイミングもよろしくスピーカーから響いてくる、そんな放送部員・滝本の声。
『そろそろスタートです。各チーム、スタートライン上に並びました』
見ると、正しくその言葉通りの光景が、スタート地点で繰り広げられている。
スタートラインの横で、係がスッと片手を上げて。
『位置に着いて……よーい……』
スピーカーから降ってくる声。
次の瞬間、
―――パアン!!
スタートピストルの合図が鳴り響き、各コース一斉にスタートを切ったのが見えた。

