まあ、由良の方で内心どう思っているのかは知らないが……少なくとも、武田の気持ちが報われていることは無いだろう。
おまけに由良は由良で、きっと武田ではない“別”の方向を向いていることにも、間違いは無いしな多分。
…“懐いている人間”限定、とはいえ、本人の態度が誰に対しても常にああブッ飛んでいるもんだから、これといった確信は無いけれども。
コイツもコイツで、そのことをシッカリ覚っているにも関わらず、それでもなお由良を追い回している根性と気力には頭が下がる。
――武田といい早乙女といい……ウチ部の後輩は、こんなんばっかか。
報われないブラザーズか。
…あー可哀想に。
ともあれ……そんなコイツだからこそ、“由良(バトン)を抱えてゴールテープを切る”ことの出来る“アンカー”という晴れのポジションなぞ、絶対に他人には渡さないだろうと踏んでいたのだが……「ま、当たらずしも遠からず、でしたけどね」と、にこにこアッサリと否定された。
「そうしたいのはヤマヤマだったんですが……でも、最後の障害が障害ですからねえ、それ考えたら誰が見ても坂本先輩以外に適役はいないよーな気もするし……まあ、単に否応もなく梨田に順番決められただけ、っつーこともありましたけど」
ああ、梨田といえば、災難でしたねー入場門でのインタビューは! …と、
そこで思い出したように付け加えられた言葉に、俺の片頬がピクリと攣った。
そーだ思い出した、コレがあったか。
「――つーかオマエだろ、俺と梨田のネタ放送部に売ったのは?」
ハッキリ言って……そんなこと知ってるヤツなんぞ、去年の生徒会と天文部の関係者の中にしか、居るハズもないし。
――出所なんて、隠されたトコロですぐ知れる。
俺だけじゃなく梨田女史もまた、ソコらへん、もうとっくに気付いてるハズだ。

