ともあれ、ただ単に“黒!”という点では、スタート地点の高階も、遠目から見てもかなり目立っている。
しかも応援部連中と違って、そんな学ランを纏っているのが華奢で可愛らしいオンナノコだからな。
これは絶対マニアが居そうだ。
『――続きまして第3コース! お待たせしました、ようやく優勝候補のご登場です! 黄色いハチマキに黒い学ランは天文部チームっっ!!』
チーム紹介のアナウンスがスピーカーから響き渡り、歓声や鳴り物と共にドッと会場が湧き。
如才なく高階が、そんな客席に向かって手を振って応えつつニッコリした極上の笑みを振り撒く。
――いくら予め俺が『紹介されたら愛想よく応えて部活紹介インタビューでシッカリとウチ部アピールしといて』って言っておいたからとはいえ……後で碓氷センセーが怖いので、そこらへんで止まっといてくれませんか高階サン……?
(今日のコレで“マニア”という名のファンを増やしたトコロで……君にはもう、あのジコチュー教師が居るじゃんか……)
この様子を第2走者としてスタンバって見てるだろう当の“ジコチュー教師”の決して穏やかではいられないだろう心中を慮り、俺は軽くタメ息を吐く。
同様に、やっぱり心中穏やかではいられないだろう第3走者としてスタンバっている早乙女に対しても。
見た目の“可愛らしさ”という点では、一緒にいる小泉に負けるとはいえ……しかしナニゲにモテるからな高階は。
一見すると大人しげで性格温厚、常にニコニコおっとりとした雰囲気で、でも目立たないようでいて実はさりげなく美人だし、おまけに誰からも頼られるシッカリ者、そして適度に優等生でスポーツ万能。
――つまり、そんな彼女のおっとりスマイルに影ながら惑わされてる男は、決して早乙女1人だけじゃない、ってことだ。

