何を隠そう、この《部活動対抗障害物リレー》は、ウチの高校に代々伝わる伝統的な“元祖・イロモノ競技”なのである。
だから、主催者である生徒会のトップに立つのが、たとえ由良だろーが《三連山》の面々だろーが他の誰だろーが、この競技だけは毎年さして変わらずにキッチリと“イロモノ”っぷりを貫いてくれているのだ。
それはもう、梨田サンの言葉を借りれば、『生徒会の威信にかけて』な。
こればっかりは、毎年“時間とりすぎ!”ってくらいに手を抜かずテマヒマかけて、更に言うなら手を変え品を変え、観ている者にとっては飽きのこない趣向を凝らして下さっている。
…走る人間にとっては別だがな。
“趣向”も何もあったもんじゃねえし。
(――というコトを、そりゃー1年坊主じゃ知らなかったんだろうけどさ……)
「でも去年の方が、“障害”だけなら、もっとスゴイことやらされてたんやで? 今年は“バトンが人間”って分、障害は少々甘くなってるかもしれんわ」
…んでもって三樹本がダメ押し。
「だから、あんま深く考えんと。普通に走ってるだけで楽勝やって」
普段と変わらない調子でそう軽く皆を励ます、そんな三樹本のニッコリ笑顔を見上げて……三人三様にウチの1年どもは、そこでハーッと深々とタメ息を吐いた。
まるでアキラメの境地に至ったみたいに。
そこをすかさず、俺は告げる。
「つーワケだ! だから、そんな甘っちょろい障害なんかに手間取ってるヒマなんて無い! このレースはタイム戦だからな、とにかく速さで勝負なんだ! 仮に1位で走ってても絶対に気を抜くな! 何が何でも全力で走り抜け! いいな!?」
そして再び、1年生3人がタメ息を吐き出したトコロで……「最終レースに出場の皆さん、そろそろスタンバイお願いしまーす」と、係の生徒の呼びに来た声が聞こえてきた。

