Anniversary


 それを聞くなり沸き起こった会場のどよめきと、即座に「えええええっっ!?」と俺の目の前でウチ部の1年生3人も、声を揃えて絶叫する。

 同時に、やはり穏やかで心地よいアルトの声で、…しかしトコトン不機嫌そうに、スピーカーから降ってきたのは件の梨田女史のピシャリとしたセリフ。

『…ウルサイわよ、そこの《浅草キッド》!』

『おおっとー、すぐ隣のご当人により、ワタクシ玉袋筋太郎にされてしまいました! ――もうお一方のご当人は如何でしょう、中継の水道橋博士?』

『はい、水道橋博士です! アトムは制作しておりません! …というワケで、どうなんでしょう吉原部長? そこのところの真相は?』

 梨田サンの冷たい言葉にも全くメゲない、…おそらく最初からコレを狙っていたのだろう、そんなスチャラカ放送部員にマイクをシッカリ突きつけられて。

 目の前では1年生の3人がキョーミしんしんの表情で覗き込んでくれてやがるし、周囲に集まってる競技参加選手どもの視線は集めまくりだし、また放送を通して全校生徒の注目まで集めてしまっている、こんな状態で……俺に逃げ場なんて、ありゃしねーし。

(――ごめんよセンセー……さっきの競技での碓氷センセーの気持ち、今はじめて理解できたよ……!)

 例の競技で吊るし上げを食らったセンセーを哀れに思いつつ心配しつつ、でも面白がっていたバチがココで自分に返ってきやがったか、…と。

 そうして1つタメ息を吐くと、そこで俺はハラを決め、短くヒトコト、応えてやった。


「……まあ、あくまでも“元”ですけど」


『なんと、吉原部長当人から肯定のお返事をいただいてしまいました!! やはりお2人の関係は、“モトカレ”と“モトカノ”!! …どうなんですか梨田さん、ソコのところは!?』

 そして全校生徒の喚声やら嬌声やら鳴り物やらに紛れて届いてきたのは、…やっぱり不機嫌そうな、ピシャリと返される不機嫌そうな声。

『…だからウルサイわよ、《東京キッド》!』