Anniversary


『そして実況は、ワタクシ滝本(たきもと)コウイチと……』

『中継に榎本(えのもと)ツヨシで……』

『お馴染みワタクシども「放送部の《Kinki Kids》」が、2人がかりで競技の模様を逐一、詳しく分かりやすく、皆様にお伝えしてまいりまーす!!』

 そこで客席全体から湧き上がる拍手と喚声。

 ――そのアナウンスから察するに、俺らの会話は、何だか知らんがいつの間にか全校生徒に中継されていたということか……?

 つーか、スピーカーから声が流れてただろうに、そのことにすら全く気付かなかった自分が不覚。

 そして、いつの間にこんな近くに来ていたのか……あまりに突然のことで絶句するしか出来ない俺たちの横で、放送係の腕章を付けた…おそらく中継リポーターの放送部員・榎本ツヨシと思しき男子生徒が1人、俺たちの横でマイクに向かいニコヤカに喋りまくる。

『こちら入場門です。いましがたの会話は、優勝候補であります生徒会チームと、有力対抗馬として名を上げてます天文部によるものです! やはりコチラも皆様ご周知、生徒会長と天文部部長の兄妹対決ということもあり、これは好カード! のっけから面白くなりそうですねー! ――どうですか吉原生徒会長? そこのところのご心境は?』

 そうやってマイクを向けられても……あまりのオソロシサのため未だ冷や汗タラタラ流しているであろう由良に、気の利いた返答など出来る余裕は、間違ったってカケラも無い。

 しかし、そんな由良に追い討ちをかけるかの如く、再びスピーカーから響いてきた心地よい穏やかなアルトの声。

 …ただし迫力満点。

『―――由良…? 今サラ「棄権する」なんて、言わないでしょう……?』

 途端、ハジかれたように差し出されたマイクを引っ掴んで由良が叫ぶ。

「せせせ、せーいっぱい頑張らせていただきますっっ!! たとえ相手が兄だからといって、容赦はコレッポッチも致しませんっっ!!」

 ――だから梨田……オマエ一体、どんな手段を使ってコイツらを説得したんだ……?