「ごめんねえ、平ちゃぁん。…つまり、そういうことなのよーっ」
再びナナメ下めちゃくちゃ低い位置から投げ掛けられる、そんな由良のすまなさそーな声。
…ウソクサさ満点。
「平ちゃんとは、出来ることなら争いたくはなかったんだけど……」
「…じゃあテメエら揃って今スグ棄権しろ」
「ああん、それだけはダメなのよぉおおおっ!!」
「許せ平良! これでも同じ天文部員だ、部のためにも協力してやりたいのはヤマヤマなのだが……!!」
「そればっかりはどうしても協力できかねる、マリアナ海溝よりも狭くて深~い事情があって……!!」
「曲がりなりにも俺たちだって生徒会組織の一員、やはり易々とドコぞの部に部費をホイホイくれてやるワケにもいかず……!!」
「………よーするに平たく言えば、梨田サンが怖い、と?」
「「「――オマエに彼女の何が分かるっっ!!」」」
そう声を揃えて言われましても、ねえ……?
――エエ分かりませんとも、ちーっとも。
「あのなあ…」と呆れてウンザリ声を投げ掛けようとした途端、今度はナナメ下から響いてくる、「平ちゃん…?」と俺を呼んだ珍しく低いローテンションな由良の声。
「あのね…まぢ本当ーにっ! ――梨田(リンダ)ちゃんは、怖いのよ……?」
そう呼ばれることをイヤがっている梨田女史に真っ向から臆面もなく『リンダちゃん♪』と呼びかけられる人間は、全校ドコを探しても由良しか居ない。
居るとしたらば他には三樹本くらいなモンだろう。
…と、それくらい由良と梨田は、昨年から同じクラスだということもあってか、一応は“仲の良い親友同士”であるハズなのだが。
その“仮にも親友”である由良の口から、こうシミジミと、これほどまでに言われてしまうとは……、
――梨田サン……アナタ一体、どんな手を使ってコイツら脅し付けたんですか……。

