コイツに何を言っても効き目は無い、ということを充分に理解している俺が、もはや何を言うのも諦めてタメ息吐きつつ、「由良…」と疲れた声で口を開きかけた、
――とソコで。
「ひょっとして……部長のカノジョ?」
そんな好奇心マンマンにコッソリ三樹本に囁いた小泉の声が、シッカリと俺の耳にまで聞こえてきてしまって。
なんだそりゃ…とガックリしたあまり、そのまま疲れた声を継続さして「おい…!」と振り返ると、問われた三樹本に先んじて、俺は呆れたように小泉を見やるや否や、心の底からイヤそーな声で告げてやった。
「小泉……オマエは、自分の通ってる学校で“生徒会長”やってる人間の顔も知らないのか……?」
「は…? 『セイトカイチョー』って……?」
「はーい! 生徒会長してまーっす、2年C組、吉原(よしはら)由良(ゆら)でーっす! よっろしくーっ♪」
「―――はいっ……!?」
俺の身体ごしにピョコンと顔を出してニッコリそう挨拶した由良の姿をポカンと眺めて……小泉が絶句してまで驚くのもムリは無い。
なぜなら、この由良ほど“生徒会長”という役職に相応しくないだろう人間も、そうは居ないからな。
俺の腰のあたりにしがみついたまま、小泉に向かいニコニコと手を振ってみせる、そんな由良の身長は……驚くなかれ143㎝。
小泉よりも更に低い。
しかも、ややヤセ型という所為でもあるのか、引っ込んでるトコは引っ込んでいるものの出るトコが出てないという、典型的なオコチャマ体型。
さらに、小泉に輪をかけて、めっちゃくちゃ童顔でもあり。
おまけに髪型は、ほぼ常にツインテール。
…今日に限っては、体育祭ということもあり、邪魔にならないよう普段は流してるだけのツインテールを頭の両脇で団子にして纏めてはいるが。
それにしたって、ドコからどう見ても“小学生”以外のナニモノにも見えない外見である。
おまけに声だって子供特有の高い声だし。
しかも独特のアニメ声。
…これで“正真正銘の17歳”って、世も末だよな。
―――よってコイツこそ、ウチの学校の生徒会が“イロモノ”と呼ばれている最大の所以である。

