Anniversary


「てゆーか、あのー……そろそろ時間も差し迫ってきてますので、打ち合わせに入りたいんですが、よろしいでしょうか……?」

 カクゴを決めて俺が何とか踏み切って、その言葉を言ってみた途端……、


 ―――どすっ……!!


 イキナリ背後から、まるで飛んできたかのような勢いでもってブチ当たってきた物体により、思わず「おあっ…!?」という呻きを洩らし、よろけて前につんのめった。

 かろうじて転ぶこともなく踏ん張ってコラえることが出来たのだが……俺が振り向いてナニゴトかと言葉を発するよりも早く、腰に手を回されて抱き付かれると同時、ナナメ下あまりにも低い位置から聞こえてきた、ヤタラと高いアニメ声。


「はっろーん、平(たい)ちゃんっ♪ 応援合戦、お疲れサマーんっ☆」


 聞こえた途端……振り返るまでも無く、声でソイツの正体が判った。

 そもそもこんなことしてくるヤツなど、俺の知る限り、1人しか居ないのだが。

「――由(ゆ)ぅ良(ら)ぁあああッッ……!!」

 呻きながら、俺は自分の腰に回された細い腕を引っぺがし、心底イヤそーな表情を作って、改めて振り返ってやった。

 振り返った俺の、見下ろした視線の先には……めちゃくちゃ小柄な、やっぱり体操着とブルマー姿の、1人の女子生徒の姿。

「おまえなあっ……何の予告も無くイキナリ飛び付いてくるなと、いつも言うとろーがっっ!!」

「じゃー、予告すれば飛び付いていいの?」

「やかましい!! やたらめったら飛び付いてくるなと言ってるんだ俺は!!」

「えー、だって平ちゃんてばデッカイから、飛び付かないと気付いてくれないんじゃないかと思ってー……」

 そうして口許で両手を組み合わせた挙句ウルルンとした上目遣いの瞳でコチラを見上げ「怒っちゃヤー」とかまで言われてしまうと……外見上、俺がオマエをイジメたりとかしてるみてーじゃねえかハタから見たら。

 ぜってー、そんなことをチャッカリ理解している上でやってやがるんだからコイツは、タチが悪い。…悪すぎる!