Anniversary


「ファンが増えて良かったわねー?」と、相変わらずのニヤニヤ笑顔で三樹本の身体ごしに言ってのける小泉を……仮にも先輩の陰に隠れられている手前、殴るにも殴れず、握り締めた拳をフルフル震わせつつ、「いらねえよ、そんなもん!!」と怒鳴るしか出来ない早乙女。――やや哀れ。

「ミカコは、どう思ったー? 副団長としての早乙女っちのこと!」

 そして、やっぱりイヤミ攻撃の延長なのか、早乙女の気持ちを知っているからこそのイヤガラセもどきに続けられた小泉の言葉で、

 …対して、そんな意図とは全く気付くことも無く相変わらず普段通りのニコニコした笑みでそれまでのナリユキを見守っていた高階は。

 しかしイキナリ話を振られたというのに鉄壁の笑顔を崩すことも無く、「そうねえ…」と、やっぱり普段通りのおっとりした声音で、返答を返す。

 そんな高階も、今は俺たち同様やっぱり黒い学ラン姿。

 それが妙に似合っていて、しかも身体の線にピッタリとフィットしてる学ランのラインが妙に色っぽくて、加えて普段は感じられない凛々しさまでも雰囲気から感じられたりしてて。

 そんな彼女を一目見るなり凝視して硬直した早乙女が、その後、鼻血でも噴き出しそうになったかミョーな動きで鼻のアタマを押さえつつクルリと180°方向転換していたのを、シッカリ俺は目撃している。

「もちろん、カッコ良かったと思うわ。さすが空手の上手な人は違うわよね」

 私みたいな付け焼刃な動きとは全然違うもの。

 続けられた高階の言葉に被さるようにして、やや頬を染めて首をブンブン振りながら、即座に「そんなことない! 高階こそ、初心者にしてはマジで良かったし動き!」と、よりにもよって高階の両手をガッと掴んで握り込み、それを力説する早乙女。