「人を探しに行くなら、フツー客席の方へ行くだろ? 誰を探しに行くにしたって、方向、逆じゃねえ?」
「ああ、それは、だから……どうせ誰を連れていけばいいのか分からないんなら、とりあえずウチの部の3年の先輩の誰かなら可能性あるかな? って考えて……それでまず生徒会のテントの方に走っていこうとしてたのね」
――確かに……そういや“本部”でもある生徒会のテントは、救護テントと同様、客席とは逆方向にある。
「その時に、先輩たちが揃って救護テントの中に居るのが目に入ってきたものだから……で、急遽方向転換して行ってみたら、そこに碓氷先生まで居るじゃない? そしたら、やっぱり年齢的に、先輩よりも先生を連れていった方が確実かな、って思って」
「――じゃあ、碓氷センセーが“指名手配”されてる、なんてことは……」
「全っ然、知らなかった!」
それ知った時、すっごい“儲けー♪”って思っちゃった! …と屈託なくあはーと笑った、そんな彼女の背後から。
「―――ほおぉ? したら俺は、じゃあカンペキに“とばっちり”を食ったってワケだな……?」
おどろおどろしい声で呟くように告げる、ヒッソリと忍び寄ってきていた碓氷センセー。
そのまま、両手のゲンコツで小泉のコメカミを挟んでぐりぐり。
コレは、そーとー根に持ってウラんでそうだな。よっぽど恥ずかしかったんか?
――てーより、あれ以来、何かとゆーと生徒にことごとくからかわれ続けていることで、いーかげん怒り心頭に達している、って方が大きいのかもしれない。
それを『儲けー♪』のヒトコトで片付けられたら……確かに、腹は立つかもな。それなりに。
そのウラミの込められたコメカミぐりぐり攻撃をやられて「うにゃああああああっっ!!」と泣き叫ぶ小泉に向かい……まあ、止めるホドの攻撃でも無いだろうと、そのまま放置し……そして解放されるのを見計らってから、もう1つ、俺はソボクな疑問を投げかけてみた。
「じゃあオマエ……あの場に三樹本も居たってこと、気付いてた……?」
「え!? マジで!? みっきー先輩も居たのテントの中に!? 全っ然、気付かなかったーっ!!」
「…………」
―――オマエの三樹本センサーって……ぜってー、どっか狂ってるぞ……?

