『第1位は、C黄色組、小泉選手ですね。連れてきたお相手は、…なんと地学の碓氷先生! しかも先生は、実行委員上層部より指定されてます“指名手配犯”の中でも、“逃げ出しては捕まえられてくれなさそうな教師ベスト1”に堂々認定されているというツワモノです! ワタクシのもとにも、そのデータが御座います!』
そこで小さく、『やかましい』という不機嫌そうな碓氷センセーの呟きが、ゴール中継係が近い距離で喋っていたからだろう、マイクに拾われて届いてくる。
…その声音から察するに、よっぽどその場にいるのが不本意に違いない。
『指令が《WANTED》ならば、こーれーはー点数が期待できそうだー!!』
…ちなみに、同じ《指名手配書》でも、点数にバラつきがある。
先刻のアナウンスの通り、碓氷センセーのように、そう易々と捕まってくれなさそうな“指名手配犯”には、それ相応の高得点が付けられているのだ。
また、“若い”という理由もあるだろう。年寄りの先生に比べればフットワークも軽いからな。
それにウチの高校では若い先生が少なすぎるということもある。
…よって島崎センセーも然り。
さっき捕まって発表された島崎センセーの点数は150点だった。
碓氷センセーならば、島崎センセー以上の高得点を弾き出してくれるだろうに違いない。
『そういえば先生は1年C組の副担任でもありましたね! やっぱりチームのため、可愛い生徒のために、わざわざ共に走ってくれたということでしょうか!? 泣かせてくれます師弟愛! ――いかがですか先生、そこのところは?』
『…それはご想像に任せます』
とてつもなく不本意な声で返ってきた、そんなセンセーのソツのないニコヤカな返答。
今日は体育祭、なまじ父兄やら他の先生やらがゴチャゴチャと居る所為もあり、普段通りの悪口雑言は、とてもじゃないけど出せないらしい。
…いくら性格は横暴でも、学校内では下っ端の所詮しがない若造教員、こういう時がツラいよな。
…てゆーか、こういうトコロに騙されてるんだよ皆。

