「…こんな狭いトコロでストリートファイトか?」
よくやるよな空手バカども。
…と、呆れたように発された呟きで、思わず脱力。
「センセー……状況を見てから言ってよね、そういうことは……」
「知らねェよ、いま来たばかりで状況なんて。――それよりオマエら、三樹本みなかったか? 探してるんだが見当たらなくて……」
「…………」
今度は碓氷センセーか……今日はモテモテじゃん、どうした三樹本。
その場に居た俺たちは皆して、無言で揃ってテント内スミッコの一点を指差し……そちらに何気なく視線を遣ったセンセーが見たものは……相変わらず椅子に縛られては口にガムテープ貼られたままの、件の三樹本の哀れな姿。
「―――何のプレイだよ?」
「…だから、教師ならもっと教師らしいこと言ってくれよっつのセンセーっ!」
ドコをどう見たら、コレが『何のプレイ』に見えるのか……校内で生徒が不当に拘束されているという事実にはムシですか。そうですか。
「どう見たって……この状況は、『悪人3人組に捕らわれた姫を助けるべくアジトに乗り込んだ勇者2人が逆にトッ捕まって立ち往生している場面』にしか見えないが……」
――まあ、そう言われてみれば当たらずしも遠からず……。
「…って、ともあれ! センセーだって、その“姫”を捜しに来たんなら、コッチに加勢してくれるだろ!?」
そこで縛られたままの三樹本が「うううーっ」とガムテープ越しに何事か呻くも……多分きっと、「“姫”とか言うなや!!」くらいのことを叫びたかっただけだろう。
だが、そんなヤツの呻きだか叫びだかは、アッサリと黙殺され。
「甘いぞ平良! そうやすやすと俺たちが加勢を許すか!!」
「恭平ちゃんと云えども……我らの手から、カンタンに姫を助け出せると思うなよ……?」
――そして、三樹本=姫、定着。
「どうでもいいが……つーか、何でそもそも、こんなトコロでコイツが“姫”よろしく拘束されているワケなんだ……?」
―――パァン!!
その碓氷センセーの至極当然な呟きと共に……響き渡るスタートピストルの合図。
確かコレが、この競技の最終レース。

