そんなキョーレツな“指令”に隠れてヒッソリ、
『いまクラスで最もモテてる人』だの
『成績が学年で上位3番以内に入る人』だのという、
ごくごく普通で大人しげなものも混じってはいるが……それでも、あんなキョーレツなヤツに比べれば、やっぱり混じっている比率は少ない。
そうこうしているウチに、「島崎先生、一緒に来てくださいっ!」と、目の前で島崎センセーも“借り人”として連れていかれた。
ちなみに、この競技の“指令”の中には、探し人の“条件”だけではなく、“そのものズバリこの人!”と実名を記されたものも混じっている。
それを競技名にちなみ《指名手配書(WANTED)》と呼ぶが、その手配された人物を見事ゴールまで連行できれば、所定の点数だけでなく、《褒賞金(バウンティ)》としてプラス100点も与えられる、という、当たったらラッキーなサービス指令。
島崎センセーが連れていかれた理由も、まさにソレである。
モチロン、予め“指名手配”された人物――おもに先生方であるが――に対して、その旨の告知はされている。
…よって、“連行”しに来た選手が、担任・副担任として自分の受け持っているクラスが所属するチーム以外の生徒ならば、捕まらないように逃げることも許されている。
島崎センセーの場合は“養護教諭”であり、本来ならドコのチームにも属していないワケだから……サービス指令中のサービス指令、という、めちゃくちゃラッキー指令だったに違いない。
――てゆーか、そもそも本来なら島崎センセーは、イヤガラセのごとく全ての追っ手から逃げてやるような、唯々諾々と優しく捕まってくれる部類の人間では、間違っても無いハズなのだが……ここ救護テント内で繰り広げられていた俺たちのファイティング模様を見物しているあまり逃げるのを忘れてた、というのが本当のトコロだろう。
「―――オマエら一体なにしてるんだ? こんなトコロで集まって」
連行された島崎センセーと入れ替わるようにしてテント内に顔を覗かせたのは、――碓氷センセー。
長身のセンセーは、屈むようにして低いテントの屋根をくぐり、中に入ってくると……向かい合っている俺と坂本を目の当たりにして、怪訝な表情で眉をしかめた。

