「あああもう、これキツくて解(ほど)けないし! …島崎先生、ハサミ貸してください」
「つーか、そこ!! なんでワザワザ縛ったのに解こうとしてるかな早乙女!!」
「しかもフツーにハサミとか使おうとすな!! チャレンジ精神というものが無いのかキサマ!!」
「…じゃかあしい!!」
不当な拘束を解くのになァにが『チャレンジ精神』だと、そこで能書きが復活してきたヤツらを再び黙らせるべく殴り付けようとするも……しかし今度はヒラリとかわされてしまう。
――そういえばヤツらも俺と同門、忘れがちだがナニゲに空手有段者でもあった。
しかも俺と同等の腕前だ。
フッ飛んでいた姿勢から、ヤツら3人とも、俺の拳をかわしつつ素早い動きで飛び起きて立ち上がると、田所が結び目にかかっていた早乙女の腕を掴み上げ、葛城がハサミの入っているだろう救急箱を死守、そして坂本が俺の胸元に飛び込んでくる。
…くそ、油断した!
咄嗟に受け身をとったものの、今度は俺がフッ飛ばされる番だった。
なんとかコラえ、ブザマに地べたに転がるようなことには、ならなくて済んだが……折角もう少しで三樹本を取り戻せるところまで来ていたにもかかわらず、これでイキナリ形勢逆転。
早乙女も早乙女で、両腕を掴み上げられたまま微動だに出来ず硬直している。
「――キっサマらぁ……!!」
「足掻くな、平良!」
吼えかけた俺を、ピシャリと坂本が牽制した。片手を広げて俺へと向けて突き出した体勢に、隙は無い。
…ヘタに動くに動けないし。ちきしょう。
「何としても、このレースが終わるまでは、指一本だって三樹本には触れさせん!!」
「『このレース』……?」
―――パァン!!
ふいに銃声が響いた。
スタートピストルの合図。

