Anniversary


「…つーか島崎(しまざき)先生も。黙って見てないで止めなよ、仮にも生徒が不当に校内で拘束されてんだから」

 ビニールテープの結び目に苦戦する早乙女が、やっぱりタメ息吐きつつ言って見上げた、その視線の先には……「あら、どうして?」と、ベッドに腰掛けて優雅にお茶を飲みつつ答える、我が校のマドンナ、保健室に咲く1輪の花、男子生徒の心のオアシス、

 ――養護教諭・島崎(しまざき) 操(みさお)先生の姿が。

「可愛い生徒が縛られている姿なんて……しかも三樹本クンみたいな美少年なら、目の保養じゃなぁい♪」

「…ウットリと言わないでください、そんなこと」

「おほほほほ、ああお茶がオイシイわ~!」

「…………」

 見た目フツーに美人のクセして……中身は“女王様”ですか。

 そうですか。ド“S”ですか。

 ――サスガ、あの碓氷センセーの“先輩”なだけのことはある。

 風のウワサで漏れ伝え聞いたトコロによると、大学時代のサークル仲間、だったんだそうな。

 しかし、幾らココに居る面々が天文部員――つまり“碓氷センセーの本性に通じている人間”同士、だからって……仮にも一応は生徒の前なのに、アナタまでも本性出しまくりやがってくださいますか。いつもはキッチリ猫かぶってるクセして。

 …つーか、ウチの教師はこんなんばっかか。

 …教師までイロモノか。

「まあ、そう責めてやるな早乙女。操ちゃんは、天文部存続の危機を憂う俺たちが断腸の想いでこうやって起こした行動に、憐れみと理解を示してくださっただけなのだから」

「はあ!? 『天文部存続の危機』って……ナニ言ってんですか!?」

 アンタらがこんなことする方が、よっぽど『天文部存続の危機』じゃないですか!

 …と云う早乙女の言い分の方が、至極ご尤もなことである。