「…そういや先輩? さっき早乙女っちから聞いたんやけど、桃花の出場種目で何やら企んでんやって?」
ふいに訊かれ、思わず内心ギクッとした。
――ヤバイ…、コイツに何を吹き込んだんだ早乙女っ……!!
「いや別に何も企んでないぞ? さっき部室で小泉と出場種目について話してて、それを早乙女と話してただけだし」
小泉のヤツ、例の《“借り人”競走》に出るのイヤがってたからさー…と、表情には出さねど内心では大いに慌てて、それでも平静な声音を取り繕って俺は答えを返したものの。
「ふうん?」と鼻を鳴らすように応えたヤツの整った笑顔が何を考えてるんだか分からなくて、何だか知らんがメチャクチャ怖い。
「まあ、桃花のあの並々ならぬ運動神経を考えれば、C組の“応援団長”として、先輩があいつの出場種目を心配してしまうのは尤もなことやと思うけど……」
したり顔でそうウンウンと頷かれても……ミョーに邪推してしまう。
――それマジで何の含みも無く本心から言ってる言葉デスカ……?
「けど、そこまで心配せんでも、あれでも桃花、やる時はキッチリやるタイプやし。…ま、あの足の遅さだけはフォローの仕様も無いけどな。でも《“借り人”競走》なんて、それだけがモノを言う競技やないし。意外とフツーにイケるんちゃうん?」
「そうだな。…まあ、そこは別に心配しちゃいないんだが」
「…別に心配せんでも、桃花がどんな『ミッション』持って走ってきたかて、俺は捕まるようなヘマせんって」
「………はい!!?」
「だから先輩らーが心配してんのは、ソコやろ?」
「…………」
―――サスガだ三樹本慎之介、『デビルイヤー』の名はダテじゃない……!
つーか、そもそも何でそんなことまで知っている……?

