「“事実”ってのは、知らないウチが幸せやからなナニゴトも。〈知らぬが“花”〉とも言うことやし?」
「…言わねえよ、それは」
それを言うなら〈知らぬが“仏”〉だと白い目で言い返してやると、シラッと「そうとも言う」と返ってきた。
…てーか、それしか言わねーっつの。
ちなみに三樹本も……俺と同じようなクチらしかった。
俺と同じような理由で、既にその“事実”を知っていた。
――つーか、そもそも学校での秘密管理が甘すぎるんじゃねえのセンセー……ダダ漏れじゃん。
碓氷センセー曰く、それでもあくまで『学校じゃヤってない』という事だったが……それで即座に、真っ赤になった高階に横から小突かれていたことは……あえて見なかったことにしておこうと思うが、また別に曰く。
『そもそも俺らが見せ付けてんじゃなくて、オマエらの方でいちいちヒトの秘密に首を突っ込みにくるからじゃねえか!』
――それは心外、というものである。
少なくとも俺にとっては。
…三樹本はどうか知らないが。
影ながら『デビルイヤー三樹本』という二つ名を持つコイツの場合、生まれ持った体質的に、ナゼか偶然ヒトの隠しているモノゴトを目撃してしまう、という習性を持っていたりするからな。
ナニゲに隠れた事情通でもあるのだ。
よって、ある種この三樹本に見つかるのは“必然”、と云うべきだったのかもしれない。
加えてコイツは、その場で不敵にもセンセーに向かいニッコリと極上の笑みで笑って、『これで碓氷サン、俺に“借り”1つやな?』と、楽しげに軽く言ってのけたそうだ。
――それを聞いて俺は、常に穏やかな表情に隠されている本当の三樹本の腹黒さを……今までも知ってはいたつもりだったが、改めて深く再認識させられたような気がした。
てゆーか、むしろ“コイツを敵に回したらヤバイ!”という強迫観念を、か……?

