Anniversary


 あまりに突然、目の当たりに知ってしまったこの既成事実に……イヤ、高階の気持ちだけなら以前から何となく、碓氷センセーに気があるのかもなあ…くらいのことには、気付いてもいたんだけど……まさか、それがセンセーの方でも同じだなんてこと、コレッポッチも考えてはいなかったから……アタマの中がひどく混乱してきてしまって。

 ――だって“教師”と“生徒”だろ!?

 いわゆる“禁断の関係”っていうヤツでもあることだし、そんなのそーそー現実には有り得ないってモンじゃねえ!?

 混乱のあまり、そのままそろーっと後ずさりし、その場からコッソリと逃げ出そうとして……おバカな俺は、そこでウッカリ足元に転がっていたガラクタを蹴っ飛ばしてしまったのである。

 よって、即座にその場で見つかって、お縄についてしまったワケだ。

『――いっ…イヤ別に誰に言いふらそうって気はサラサラ無いから俺には! だからドウゾ安心して続けてクダサイッ!』

 せっかくの濡れ場をジャマしてしまったということもあり、慌てていたあまりのこととはいえ、真っ先に詫びを兼ねて何を言われる前にそんなことを自分から言い出してしまったパニクり最高潮だった俺を見つめて……フウと軽くタメ息を吐きつつ、センセーは呟いた。

『…少しでも“脅し”のネタにしてやろうって気がサラサラ無いトコロが、オマエのちょこざいトコロだよな』


「――なにをボーッとしてるん、先輩?」

 いつの間にかコチラへと戻ってきていた三樹本が、「珍しいやん?」と笑いながら俺の顔を覗き込む。

「何に見とれてたんです?」

「…早乙女の、あのウキウキした歩きっぷりに」

 そこでぶはっと吹き出した三樹本は、「確かに、よく頑張ってるわ」と、向こうで他の応援団員に混じって練習していた高階と、さっそく楽しそうに話をしている早乙女の姿を見やった。

 ――“そのこと”に、早乙女が気付いているのかいないのか、そこまでは知らないけれど……まあ、好きな女のことだからな、高階の気持ちくらいは、多分シッカリ気付いてはいるんだろうが……それでもメゲず諦めず、果敢に何かしらと日々アタックしてゆく、その根性はスバラシイ。

 やっぱり恋の力は偉大だと、心の底からシミジミ思う。