あれで本人は隠しているつもりなんだろうが、ナニゲに入部当初から全開でバレバレだったし。
にも拘らず、そこまでして好きな女の傍に居たいと願う早乙女のケナゲな気持ちになど全くもって気付いていない風な高階。
…あー不憫だねーマジで。
しかも、“不憫”というなら、それだけでなく……気付いていないだけならまだしも、高階の視線の方向は……、
―――最も手強くて自己中心的(ジコチュー)な大人の男にしか、向いていない。
俺がそれを知ってしまったのは、偶然……あくまでも偶然、居合わせてしまったからだ。
いわゆる“濡れ場”というヤツに。
あれは確か夏頃…2学期が始まってすぐの頃、だったと思う。
放課後、用事があって地学準備室で例の如く昼寝をしているはずの碓氷センセーのもとまで行ったところ、“それ”に遭遇してしまったのである。
それまで部室に居たものだから、廊下を回るのを面倒くさがってワザワザ普段から誰も使わないような通行禁止の狭いベランダ伝いにウッカリほけほけ何も考えずに行ってしまったのが、そもそも悪かったのかもしれないが。
開け放された窓越しに、翻ったカーテンの向こう、俺はシッカリ目撃してしまった。
ソファに寝そべった碓氷センセーと、それに覆いかぶさるようにして腰を屈めている高階、そんな2人のキスシーン。…しかもディープ。
おまけに、窓が開いているモンだから、中の音やら声やら会話までが、シッカリと聞こえてしまった。
『もう、なんでいつも来るたび来るたび寝てるワケー?』
『…オマエが昨夜、一晩中寝かせてくれなかったからだろうが』
(―――って、既に最後まで手ェ出し済みかよ、このエロ教師っ……!!)

