――まあ、ともあれ。
そんなカンジで身内に空手経験者が居たのをいいことに、よってここは男くさく“これぞ応援団!”的に極めてやろうと、組み手をメインに取り入れた応援合戦の演出などを考え出してみたようなワケである。
…とはいえ、あくまでもハードに動くのはメインの俺たち3人だけだ。
他の応援団員6名には、とりあえずごくごく基本的な型だけを覚えてもらい、メインに動く俺たちの背後で盛り立ててもらう、と。
そうやって今日も、副団長どちらか1人が団員の面倒を見、あとの1人に俺が稽古を付けてやりつつ振り付けの練習、という役割分担でもって、練習に励んでいるワケなのである。
「じゃーそろそろ、オマエ三樹本と交代な。…ついでに高階にイイトコ見せてこいや」
そうして早乙女を立たせてから、軽くニヤリとしながら言った途端。
照れ隠しなのだろう、ヤツは少しだけムッとしたような表情を浮かべ、まだ俺に掴まれたままだった手を無言でバッと振り払った。
「…言われなくても、そのつもりです!」
そしてクルリと踵(きびす)を返して、とっとと俺の前から立ち去ってゆく。
――その前に、ナニゲに「ありがとうございました」と一礼していくトコロは、さすがモト運動部員。礼儀はキッチリわきまえてやがる。
しかし、俺に見せた仏頂面とは裏腹に、その足取りが少々軽やかなのは……気のせいではないだろう。
――やっぱり、恋の力ってヤツは偉大だよな。
なんで早乙女が空手部の誘いを蹴ってまで、そんな似合わない、文化部の中でも特にオタク系で地味な天文部なんかに所属し続けているのか、と云えば……理由は1つ、
高階実果子だ。
彼女が天文部に居るから、に他ならない。

