「――なあ、そのオマエんとこに来た『報告』って……もう撤回できねえ?」
「小泉の出場種目ですか? …出来ませんね! あれに出せなかったら、他に何の競技に出せるっていうんですか! あの超人的な運動オンチを!」
「いや、まあ、それはそうだが……」
言いたい気持ちは理解できるとはいえ……でも、あからさまにそこまで言うかオマエ……?
もう少し歯に衣着せて喋ってやることを憶えろよ若造……。
どうりで、『チーフ』に呼ばれたと知った時の小泉が、いつもの勢いなんてドコへやら、ガラにも無くヘコんでたワケだよ。
この調子でコイツに毎日やいのやいのと言われてちゃあ、そりゃヘコみたくもなるわな。
「それにココへ来る前、実行委員の山田さんのトコへ、もうそれ提出してきちゃいましたし。あいつの報告で、やっと全員の出場種目が出揃ってくれたから」
「ああ、そう……ならムリだなあ……」
山本のことだ、あいつは仕事が早いから、即行で選手登録まで済ませてしまったことだろう。
既に実行委員会どころか生徒会への報告まで、済んでいるに違いない。
――たとえ、あのあと3人が梨田サンの目を逃れ、山田のトコロへ手を回しに行けたとしても……もはや〈時、既に遅し〉ってなモンだったろう。
「あーあ、ますます“ご愁傷サマ”……」
「――って、何なんですかさっきから一体……」
身体を起こして訝しそうに問いかけた早乙女を、俺も立ち上がって見下ろして。
「…別に、何でもないけどね」
そう言いながら手を貸して早乙女を引き起こすと、やれやれ…と、深くタメ息を吐いた。

