Anniversary






「…で、小泉が《“借り人”競走》の1-C代表って、マジ?」


 応援合戦の練習中。

 コッソリと俺は、やっぱり1-Cのコイツなら知っているだろうと、早乙女にそんな問いを投げかけた。

 三樹本は、少し離れた場所で、他の応援部員の振り付け指導をしてやっている。

 俺と早乙女は、2人で組み手などしつつ、自分たちの振りの練習をしていたトコロだった。

「――小泉……?」

 俺に向かって上段蹴りを繰り出しつつ、その言葉を聞くなり早乙女は、眉をひそめて“はあ?”とでも言いたげに不可解そうな表情をした。

 ――が、即座に何か思い当たったように「ああ!」と声を上げ、今度は回し蹴りを繰り出してくる。

「あのイロモノ競技! …そういえば、さっき俺んトコに報告に来ましたね」

「――じゃあオマエが『チーフ』かい……!」

 つーか、なんで『主任(チーフ)』だよ? と訊き返すと、即座に「実行委員だからですよ」と、今度は拳が繰り出される。

 …じゃあ、『親分(ボス)』はドコなんだ一体?

「そこは……つまり、もう1人の実行委員? …てゆーか学級委員か」

「…誰だ、それ?」

「――高階です」

「………そりゃ納得だな」

 そこで、反対側から突き出された腕を引っ掴み、「甘い!」と、言うなり投げ飛ばす。

「いってェ……! つーか、振りに投げは入ってないでしょーがっ……!」

「いや、パンチに気合が入ってなかったから何となく」

 アッサリ床にノビて「反則ー…」などと呻く早乙女の横にしゃがみ込んで、俺は再び、ヤツへコソコソと囁きかけた。