「だから『利用してきた』とか言うなって、人聞きの悪い!」
「俺たちは純粋に部のためを思って、良かれと思ってやってきたのに……」
「それにしたって……“箝口令”は行き過ぎだろ?」
「…ちょっと待て平良! それに対してはオマエだって何にも言わなかったじゃないか! それを今サラ……!」
「――あのなあ? 俺はあくまでも『平和を良し』とする人間なんだよ名前の通り。丸く収まってるウチは別に何も言わないさ。…だからといって、旗色が悪くなってきた時にそれを責められなきゃならん謂われなんざ、間違ってもサラサラ無い!」
「くっそう……!! “日和見主義”の犬かキサマ……!!」
「所詮、俺は平穏を愛する日本人だ。…何が悪い?」
「ちくしょう……賢しらに日本人の伝統的悪癖まで逆手に取って振りかざしやがって……!!」
「オマエだって、何も言わなかったわりに、便乗してシッカリ甘い汁を吸ってきたのは事実じゃねーかよ……!!」
…うん、まあね。そこらへんは否定しないけど。
三樹本に対し、コイツら3人から敷かれた“箝口令”とは……。
――小泉桃花についての全て。
5月の観測会の時のように…部活動単位で学校行事等に参加をする際、三樹本をダシにして女性客を集客するためには。
ぶっちゃけ、ヤツに“カノジョ”なんて存在が居てはいけなかったからである。
つまり、「オマエにカノジョが居るってだけで集客できる人間が減るから、今後一切カノジョのことは他言するな!」と……入部早々、下されてしまったワケだな。これが。
まさか当の“カノジョ”が翌年入部してこようとは、つゆほども考えていなかったが……その時も、ヤツら3人で「部費が減るー!!」と多少は焦っていたようだったが……しかし小泉のあまりな“オコチャマ”的リアクションが判ってくるにつれ、次第に何も言わなくなった。
――というのも、れっきとした“カレシ”“カノジョ”の関係の2人であるにも関わらず、ハタから見たら、小泉が一方的に三樹本にジャレついてるよーにしか見えなかったから……なんだよなー……。

