C組連合に所属する全員の50m走(もしくは100m走)のタイムは、最も獲得点数の高い花形競技《チーム対抗スウェーデンリレー》への出場選手選抜のため、実行委員幹部である山田の手に握られているのだ。
よって、“応援団長”として「ヒマなら手伝え」とムリヤリ選手選抜の相談に乗らされた俺も、そのデータを知っていた。
…つーか、今時まだ50mを10秒台で走れる高校生が居るのかとビックリして名前をみたら小泉だった、という驚きはハンパじゃなかったので、そこは良く憶えてる。
そういえば以前、高階が言っていたことがあったっけ。
――『桃花にとっては、廊下は“転ぶモノ”だし、階段は“落ちるモノ”で、それにドブは“ハマるモノ”なのよ』、と。
…まあ、そのくらいに小泉は、チョロチョロと良く動き回っているわりにはトロイ、と。
…言いたかったワケだな。言い方はどうあれ。
『それを5日に1度は実際に体現してるわよね』と笑った高階に、『ひどーい! そんなことないよねっ!?』と、小泉が傍に居た三樹本に同意を求めたところ……『せやなあ?』とニッコリ微笑んで答えた、――このヤツのヒトコト。
『“3日”に1度、くらいやもんなー?』。
――親友とカレシ、共にそこまで言われてしまうホドに……つまり、自他ともに小泉の運動神経は“キレている”と……シッカリと認められてしまっているんだなーコレがまた。
「だからウチの実行委員(チーフ)に『足の速さがモノを言う競技以外を、とりあえず何か選べ!』って言われて、仕方なく……」
「…それで“イロモノ競技”?」
「だって『足の速さがモノを言う競技以外』のものなんて、イロモノしか残ってないじゃないですか」
「他にもあるだろ? 《玉入れ》とか《綱引き》とか……あと《大玉ころがし》とか?」
「部長……それみんな全員参加。――しかも無いから。《大玉ころがし》」
「………ソウデシタッケ?」

