「ようするに“部費”や。“臨時賞与”っつー扱いで、今期の部活動予算とは別に生徒会から特別に部費として支給されるんや。それも、あくまで“臨時”っつー扱いなもんで、今期予算とは別モノ扱いやし、予算以上に多く貰ったかて、それで来期の予算に反映されることもない。――いわば、部内で好きに使えるアブク銭を貰えるようなモンやな」
「その通ーり! …よって、どこの部でも同好会でも、棄権もせずに目の色変えて参加してくるワケだ。所詮はイロモノ競技、障害物走っつーこともあって、勝負は純粋に〈時の運〉だしな。…おまけに、部費不足で苦しんでるのはドコの部でも同様だし」
「こういう時こそチマチマ稼いどかんと。――つーワケで3人とも、いい加減ハラ括りやー?」
…このようにして、三樹本のそのダメ押しにより、否が応も無く1年生部員の参加が決定。
「碓氷センセーも。部費のためだし、だから頼むよ? この通り!」
そうして拝み手で一礼してみせると。
センセーもケッと顔を歪めてみせ、「わーったよ! 走りゃいいんだろ走りゃ!」と、シブシブながらも了承をくれた。
…よし、これでようやくメンバー確保、と。
「そういえば部長……こういうお祭りゴトに欠かせないカンジンなメンバーが、抜けてるんじゃない……?」
そこで思い出したような小泉の言葉に……「ああ!!」と、早乙女と高階の2人ともが、やっぱり思い出したように、揃ってポンと手を打った。
――てゆーか、遅いし。今サラ気付くなよ1年坊主ども。
「そうですよ! あのガタイの良い先輩方の方が、俺よりも絶対、力あるだろうしっ!」
「まさしく“うってつけ”ってモノよね? 走者にするなら、体格からして先輩たち3年生4人と碓氷先生だけで、いいんじゃないですかっ?」
途端、彼らの背後からおどろおどろしい声で投げられる、「あんたたち…アタシ1人見捨てて逃げる気…?」という小泉のウラミがましい言葉には、2人とも器用に聞こえないフリをする。
――そこまでして逃げたいかテメエら。

