「私、まだバトン役やるなんてヒトコトも承諾してないんだからッッ!!」
「俺だってヤですよ、こんなモン抱えて走るのなんて!!」
「ああっ、なによソレ!? 『こんなモン』って何よ!! アタシこそ、みっきー先輩以外の男に抱えられるのなんて真っ平ゴメンよッ!!」
「じゃあ好きなだけ三樹本先輩に抱えられてろよ!! 俺だってゴメンだね、いくらチビでもオマエみたいな落ち着きの無いオンナ抱えて走るのなんて!!」
「なーんですってえ!!? アンタこそ、アタシ1人を抱えて走るだけの体力も無いクセに、能書きコネてイキがってんじゃないわよ!!」
「なんだとう!? だーれが体力が無いって!? ふざけんな、テメエ1人ごとき抱えて走るくらい朝飯前だ!!」
「信用できないわね!! 男のクセに口ばっかりなヤツの言葉なんてっっ!!」
「じゃあ、幾らでもやってみせてやるよ!! テメエなんぞ片手でヒョイッ……!!」
―――バシッ!!
いい加減、2人の反論が、いつの間にか単なる口ゲンカになってきた上に限りなく低レベルな言い争いの様相を呈してきたために……持っていた指示棒で俺はホワイトボードを引っぱたき、それを止めた。
ビクッとしてコチラを振り向いた小泉と早乙女、2人の顔をニッコリと見つめて。
「…じゃあ、折角だからやってみせてもらおうか? 体育祭ホンバンでな?」
言った途端、2人そろって、「いいです! エンリョしますっ!!」と、首をブンブンと横に振りつつ、両手を前に出しブンブン振る。
…いいコンビじゃんか。
だからといって、「ハイそうですか」と引き下がってやるホド、俺は寛大でも何でもない。
そこでトドメのヒトコトを、俺はニッコリと、口に出して言ってやった。
「1年生は参加必須! ――コレ、部長命令!」

