Anniversary


「毎度毎度いつのまにか逃亡しくさりやがってーッッ……!!」

 荒い息の下で吐き出された、そんな彼女の低い声に……一同ビクリと凍り付く。

 ――マジで怖いし、そのハクリョク。

 そのままツカツカとコチラへ歩み寄ってきた彼女は、おもむろに、何の前触れも無く、げし、がし、ごいん、と、何の遠慮も躊躇(ためら)いも無く、仮にも上級生である坂本、葛城、田所を、それぞれ1発ずつ、順番に殴り倒した。

「うごっ…!」「ぐおッ…!」「あがッ…!」と、それぞれにアタマを抱えて呻く3人の前で仁王立ちになり……そして叫ぶ。


「とっとと生徒会室に戻りなさい、この3バカども!! 仕事はまだまだ山積みなのよ!! いー加減、ちゃきちゃきマジメに働きやがれ!!」


 ――ぶっちゃけ彼女は、ヤツら3人が唯一アタマの上がらない人間、でも、あったりする。

 …まあ、どこの世界に於いても、結局はサイフの紐を握ってる人間が最も強いというのが真相、ってだけのことかもしれないが。


 そして……哀れにも3人は、梨田女史に蹴り出されるようにして、転がるように地学準備室を出ていった。

 きっと奴ら、あの彼女から逃れるために、今日に限ってワザワザ地学準備室で溜まっていたのだろう。…ナルホド。

 とはいえ、奴ら3人が生徒会の仕事から逃亡しては、その都度、梨田女史に連れ戻されている姿は……また、奴らを探して彼女が全校を走り回る姿も……ちょーお馴染みの光景となっているため、〈自業自得〉と思いこそすれ、何の同情すら湧いてもこないが。