Anniversary


「だから先輩が手伝え言うなら、気持ちよく手伝ってやろーや。――な、早乙女っち?」

「それは解りましたけど……何度も言ってますが、いい加減、俺を『早乙女っち』って呼ぶのは止(や)めてくれませんか? 高校生にもなって、ヒトの名前くらいキチンと呼んでくださいよ!」

「おう、分かったわ。悪かったなあ不愉快な思いさせて。――じゃあ、次から君は『プレアデス』ちゃんや! 名前が『すばる』だけに、天文部さながらの素晴らしいネーミングセンスやな我ながら。…そう思わん、そこの『プレアデス』ちゃん? …なんや言いにくいから『プレア』ちゃんにするか? …それとも『デス』ちゃんか? …どっちがええ?」

「―――……いいです、やっぱりこれからも『早乙女っち』で。むしろ『早乙女っち』で! ゼヒ『早乙女っち』と呼んで下さいっっ……!」

「えー? なんや、つまらんなあ……ま、そんなに涙ながらに言われちゃあ『早乙女っち』と呼んでやらないこともないケド……」

「…………オネガイシマッス!!」

 ――後輩を可愛がり過ぎるくらいに可愛がるのは、我が天文部の伝統、なのかもしれない……。

 そう嬉々として後輩を鍛えてやってる三樹本の性格を鑑みた上、先輩を哀れんでる云々をどうとか問うのは、自分の健やかな精神衛生上…また身の安全のためにも、止めておくことにした。

 代わりに大きく深々としたタメ息は洩れたけど。

 この早乙女も、こうやって何だかんだで鍛え抜かれて、1年も後には強く逞しく成長していることだろう。

「あー…まあ、とにかく、応援合戦の打ち合わせがあるから……三樹本と早乙女は、さしあたって体育館の使用日程が出るまでは、明日から毎日、放課後3-Cの教室に集合なー?」

 とりあえずそこで口を挟み、早乙女に助け舟を出してやりつつ、心の奥底からシミジミと思う。

(ここまで三樹本の性格がひん曲がったのは、絶対に“ヤツら”の所為だよなー……!!)


 俺の周囲における全てのモノゴトの元凶にして諸悪の根源。

 その名も、“もと”《生徒会三連山》。