駐車場へ着き辺りを見回すと、真っ先に男の車を見つけた。黒のベンツだもの…目立つわよね…。 カツカツとヒールの音を響かせながら男へと近付く。後ろからはどんな男か興味があるらしく亜美が楽しそうに着いて来る。 「楽しそうね」 「だって〜。朱里が職場に男を連れて来るなんて初めてなんだもん。もしかして…彼が本命だったりして」 ニヤニヤと悪戯な笑みを浮かべながら私の顔を覗き込む亜美。 そう言えば……恋人の振りをするって約束だから……亜美にも振りをした方がいいんだろうか…。