「…適当に荷造りして降りて来い」 「え?どういう意味?」 車がマンションの下で止まると、慎矢さんは小さくそう呟いた。 「少しの間、家においてやる。当分一人でいたくないだろ。まあお前が平気ならどっちでもかまわないが」 「…そこまでして貰わなくても大丈夫。もう平気よ怖くない」 「…そうか。何かあったら呼んでくれればいいからな」 「え、ええ…ありがとう」 「エレベーター乗るまで見といてやるから、先に行け」 慎矢さんは運転席から外へと出てタバコに火をつけた。