「何?オマエこんな時間まで残ってやってたの?」


社会科研究室へ課題を提出に行くと、玲ちゃんが驚いた顔をした。


「今日中に出した方がいいかなと思って…」


「家で渡せばいいだろ?」


あっ、健三と同じ事言った。


やっぱ兄弟だ。


「家で渡すのは何だかズルイ気がして…」


私もさっきと同じように答える。


玲ちゃんは吹き出す様に笑ったかと思うと


「オマエらしいな」


と言って私の頭をポンポンと叩いた。


「もう暗いし、一緒に帰るか?」


「大丈夫!ひとりで帰れるよ。誰かに見られるかもしれないし」


「大丈夫だろ、ウチの生徒ほとんど電車通学だろ?」


確かに家は最寄駅とは反対方向で裏門から帰宅する生徒は少ない。


「ホント大丈夫だから気にしないで」


玲ちゃんを無理矢理納得させて私は学校を出た。