お昼休み、私は重い足取りで社会科研究室へ向かった。



―コンコン―


「どーぞ」


「失礼します」


「…夕べ、眠れなかったのか?」


怒られると思っていた私は拍子抜けした。


「何?怒られるかと思った?」


「…うん」


玲ちゃんがいつもの様にいぢわるく笑う。


「健三との喧嘩のせいか?」

「…喧嘩というか」


私は昨日の出来事を一通り説明した。


「…なるほど」


話しを聞き終わった玲ちゃんが少し考えてから口を開く。


「アイツは不器用だからなぁ。健三が怒るのは莉子を心配してだと思うぞ」


「心配?」


「そっ。アイツなりの愛情表現だな」


愛情表現は言い過ぎな気がするけど、確かにいつも健三が怒る時って私が何かやらかした時だ。


健三なりの愛情表現かぁ。

じゃあ嫌われた訳じゃなくて私の事を大切に想ってくれてるってこと?