結局、家の前まで健三は手を離してくれなかった。


フリとはいえ孝ちゃんに見つからなくてよかった。


家に帰ると健三はさっさと自分の部屋に入ってしまった。


私も一旦部屋へ入る。



―コンコン―


着替えを済ませ、明日の時間割を合わせていると部屋がノックされた。


「莉子ちゃん、ちょっといいかな?」


修ちゃんの声だ。


「どうしたの?」


「莉子ちゃんに頼みたい事があるんだ」


修ちゃんが頼み事なんて珍しい。


「なぁに?」


「1日だけ僕の彼女になってくれない?」


エーッ?!?!