「付き合わせて悪かったな」

そう言ってチケットを渡される。


「うんん、私も観たかったから」


「観たい映画はだいたい一人で行くんだが、恋愛モノだけはさすがに行きづれぇ」


玲ちゃんが苦笑いする。


でも玲ちゃんが恋愛映画を観たいだなんて意外。




「この俳優が好きなんだ」


席に着くと玲ちゃんはジュースと一緒に買ってきたパンフレットを見せてくれた。


納得。


恋愛映画ではなく出演している俳優さんが好きなんだ。




雑談をしていると始まりを告げるブザーの音が鳴り響いた。