「だからそういうこと言わないの!また殴っちゃうかもしれない。

でも、何で死にたいの?」



まっすぐ俺の目を見る女



大きな瞳でじっと見られるとなんだか吸い込まれてしまいそうだ



「別に・・・ただつまんないから。嫌いなんだよ。この世界が。生きててもただどんどん人間の汚さを知っていくだけだし。


逆になんでそんなに生きたいの?」





そう率直に聞くと女は空を見上げた




「わからない。何もわからないから、このままじゃ死にたくないの。

ほら、こんなに空は広いのに瑠璃華ね、この病院の敷地内でしかいられないの。ずっとずっと白い箱の中で過ごして、何も知らずに誰にも瑠璃華の存在をしってもらえないままここからいなくなる。


それって悲しくない?」




「何も知らないほうがいいよ。知ったらがっかりするだけ」





「それでもいい。どんなに汚くてもいいから瑠璃華はいろんなものを見たい。


交換できたらいいのに。
命も交換できたらいいのにね」




大きな瞳がにじんてきて
涙へと変わる



俺は焦って何か言葉を探した