キッチンとつながっているリビングにはカレーの匂いが漂っていた。 「もうすぐ、出来るよ」 音菜が作ったサラダは完成していた。 約一年振りに家族での食事。 おばさんのご飯。 音菜はこの当たり前のことに嬉しさを感じていた。 だから、その幸せを少しでも感じ取っていたくて、今の暮らしについてはその日は言えずにいた。