「ねぇ…」



ずっと読んでいる勇二に声をかけた。



「そろそろ返してくれる?」
「あ、ごめん。凄いな…」
「凄くなんかないよ」
「凄いよ。なんて言うか…感動した」



勇二は目に涙を浮かべていた。




「そんなに…?」



音菜は初めて他人に自分から話し始めた。