「ニュースを見て、もしかしたらと思って来たんだけど。事実なのね」

彼女の日常の中にいるはずのおばさん達の姿がないことで、名前も知らない彼女は納得していた。

「あの、お名前は?」
「美子さんからはリオンって呼ばれてたわ」

リオンさんは、優しい笑顔で音菜を見る。
その笑顔はおばさんを思い出させて、また涙が流れてくる。


「音菜?」
「おばさんは、アメリカで私と一緒に居たかったのかな」
「どうだろうな。でも、音菜は日本に残りたかったんでしょ?それなら、親なら自分の気持ちよりも音菜の気持ちを尊重したいと思うよ」
「美子さんは、貴女のことを気にかけていたわ。けど、一度も音菜と一緒に住みたいってことを聞いたことはなかったわね」
「そうですか」
「本当に音菜のことを気にかけていて、本音は言わないでいたのかもしれないわね。今となっては本当のことは何もわからないけど」


音菜は一昨日貰った指輪を取り出す。
その指輪は輝きを無くしているけど、おばさん達の想いを感じることができた。